05. 「どういうつもり」




「これは、お前が着けてた方がいいんじゃないのか?」
 そう言って今しがた購入したばかりのリングを差し出され、そうした相手・ククールの僅か高い位置にある顔を見上げる。
「何で?」
「……つーか、お前どういうつもり?」
 ますます訳が解らなくなって、小首を傾げた。
「最近の買い物、俺のばっかじゃねー?」
 綺麗に弧を描く眉根が寄っていても、綺麗なモノは綺麗で。日頃から見慣れていながらも、つい見惚れてしまう。
 と、すっと手袋に包まれた指が一本、胸元に突き付けられて。
「お前、知ってるか?」
「何を」
「俺の守備とお前の守備じゃ、数値にして50くらい差があって、数値的には俺のが上」
 理路整然と言ってくるけど。
 それを言うなら、利はこちらの方にこそある。
「そんなの当たり前だよ」
 ククールのがか弱いし、打たれ弱い。基礎体力の差故か、長期戦には向かない。
「トロデ王だってククールの打たれ弱さには、何度かアドバイスらしきものをくれてるんだよ」
 ひとつひとつを上げ連ねれば、ぐっとククールは言いよどむ。
「や、でも数値的に50も違うっていうのは」
「その方が、安心なの!」
「……回復要員だからな」 ちょっと憮然といった態で睨みつけてくる。拗ねてるのかな?  でも、これだけは譲れないんだよね。
「それも無きにしも非ずだけど……そればかりじゃないよ」
 訝し気に見やってくる視線に、苦笑が零れる。さて、本心を告げたらどういう表情見せてくれるのか。
「僕が、戦闘中にククールの心配ばっかりしてたら、拙いでしょ」



2005.08.31



 トロデ王のひと言アドバイスで、『ククールは死にやすいようじゃ。線の細さの所為じゃろう…云々』みたくな台詞があるんですよねv これに萌えずして、何に萌えよと?




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