主 * エイト |
明け色の空
僕は凍える手を摩り、それからククールの尻尾を引っ張った。 「痛い」 と上げる声は眠たそうで、いつもの覇気はない。僕はまるで暴れ馬を御する手綱のごとくに更に髪の毛を引っ張った。 「痛えっての!!」 やっといつものククールだ。僕はようやく安堵する。 彼は不服そうに目を擦った。 「大体なんでわざわざ雪山に登るんだよ」 「空気が澄んでいて、遠く迄見渡せるから」 お互い吐く息が白い。ククールの白い肌が寒さで少し紅くなっていて可愛かった。 「どこだって同じじゃねーかよ」 そう、それは僕のただの我が儘だ。たださ、、やっぱり初日の出は寒くなきゃ雰囲気でないし、それにこの方がより密着できるし。 現にククールは僕にぴったりとくっついている。時々眠気に負けてがくりと僕にしな垂れかかるのも乙だ。凍死しないように起こしてあげるのは忘れないけど。 「ほら、もう少しだよ」 僕は東の空を見上げた。 ※ 「眩しい」 彼はそんな情緒のないことを言う。僕は笑った。 夜を払拭した明け色の空はどこまでも続いている。 僕はククールにキスをしたくてしたくて堪らなくなり、思わず引き寄せ抱きしめ冷たい唇を重ねた。 「今年もよろしく」 てっきり彼は怒るかと思ったのだけれど、彼は小さく微笑み小さく頷き、そして小さくキスをし返してくれた。 ククールの唇も冷たかった。 今年もいい年でありますように。 |
入谷さんから2006年の年賀状のお礼として頂きました! うっあ〜 こ、こんな至福あってもいいのでしょうか?! こんっな素敵なSS書いて頂けるような年賀状でなかった事だけは確かなのにっ! 年初めからラブイチャな主ククを独り占め出来て、月ノ郷的には凄くいい年になりそうな予感がひしひしとしておりますv 入谷さん。本当にありがとうございます! |