する側 される側 「お前って、つくづく綺麗な顔してるよな〜」 心底感心したように掛けられた台詞は、右斜め下から。 そこには赤い胴衣を身に纏い、緑のバンダナで無造作に頭を結わえた星の頂点を担う者がある。 台詞の内容共々、こんな場所で寛いでていいのかとの念から、呆れたままに溜息を零してやる。 「馬鹿?」 「だって、そう思ってんの俺だけじゃないし」 「………」 間をおかず帰ってきた台詞に、怪訝な視線を向ける。 この男が自分の容姿をいたく気に入っているのは知っていた。暇さえあれば、用もないのに訪れて。その理由を問えば、自分を鑑賞に来るという目的を隠しもせず平然とのたまわってくれる、慇懃無礼な事この上ない男だ。 「兵士連がさぁ、お前のこと思いながらヌケルとかほざいてたんだよな」 「………」 「鑑賞物に値するくらいには綺麗だけど、可愛げも色気の欠片もねーのになぁって思って?」 「……………最低」 何でわざわざそんな事を告げにくるのか、この男は。 目の前でやられたり、言われたりしなきゃ、解んないんだからいい―――っていうより、仕方ないと思わざるを得ないというのに。 めいっぱい冷たい視線を向けてやると、へらへらと笑う。 「俺、お前のその顔好き。後、怒ってる顔とか?」 そこいらの奴らなら、この視線だけで一歩どころか十歩は後退ってくれるんだけど。 「つーか、啼かせてみたい顔ではあるよな」 「………はいはい」 腕組んで、これ以上もないほど真剣な顔付きでのたまわってくる。あーもう、こんな奴にまともに取り合ってられるか。 「そんな理由でヤられてちゃ堪んないね」 「かなーり、重要なポイントだと思うけど」 どこがどう重要なのか……相変わらず解んない男だ。溜息もいい加減涸れ果てる。 「お前さぁ?」 何かを含ませるかのような声音を怪訝に思いつつ、首を傾げた。 「何さ」 「知らないみたいだから一応言っとくけど? 俺、お前の性格も結構好きだから?」 「………あ、そ」 あんまり嬉しくない………と、思う事にしておこ。
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