例えば こんなふたり − 12 握り締めた手は、本当に小さくて、酷く心許なのに。 「正直ね、こんな内戦に引っ張り込まれて辛い事ばっかりで……国政なんてどうでもいいって、逃げ出したかった」 それでも、その心許なさはルックの内とは違う。 「でも石板の前に行くと、ルックがいて…僕や僕を見込んで集まってくれた仲間達の名前が連なった石板守ってくれてて」 小さな子供のルックに、守られてる気がしていた。 「ルックは役目だからって言うだろうけど。だけど、きっとルックだけは最後まで僕がやる事の全てを見ててくれるんだろうな、って思ったら逃げ出せなくなったんだ」 それから、ずっとルックを見てた。 「その内、僕の中がルックでいっぱいになって。溢れて。正直、どうしていいのか解らなくなって……」 その答えをルックに出して貰おうと、告白したのだ。だけれど、そんな僕をルックは拒絶しなかった。 傍に居るのを許してくれて。 触れてもいいって、言ってくれて。 特別に思ってくれて―――。 「ありがとう」 今まで得た事のないくらいの、幸せをくれて。 ねぇ、僕は君に出逢えて良かった。 「………一から、始めよう?」 「一から?」 きょとんと聞き返してくるルックに、笑みを返してひとつ頷く。 「うん、最初っから」 握った手はそのままに、真正面からルックの翡翠を覗き込む。 「僕は、君が好きなんだ。僕と付き合ってくれますか?」 刹那、綺麗に綺麗に笑みを浮かべたルックのその貌は、正に花が綻ぶようだった。 「僕は 」 …… end
|