例えば こんなふたり − 10 「セックスに性欲処理以外の意味なんてない、って思ってた」 誰でも持ってる本能のひとつ、肉体的欲望に過ぎなくて、それ以外の意味があるなんて考えもしなかったと。 「だけど、あんたならいいとか他の奴じゃ駄目とかあるんだって…事は、それは正しくない思い込みだったって事、だよね?」 いつもは気丈な翡翠が、どこか不安定に揺れる。 ………今なら、常に伝え続けてはいても彼の内にまでは届いてないと感じていた想いが、違うことなく伝わるかも…知れない。 「少なくても、僕は。ルックの全てが泣きたくなるくらい愛しくて、欲しくて堪らないから……抱いてる」 ルックは違うの?と問うと、 「恋人だったら……セックスするんもんだ、って誰かが言ってたし………。実際にどんな事するのか知らなかったから」 僅かに戸惑いを見せて呟くように告げてくる。 いっそ動機がルックらしくて、愛しい気さえするけど。 「僕はね。ルックの事が好きで好きで…どうしていいのか解らなくなるくらいに好きで、ずっと傍にいて触れたいと思ってた」 抱き締めると温かいし、ルックを感じられるから。セックスする事で、もっとルックの全部を感じたかったんだ。 「ただの欲望の捌け口だったら、相手が誰でも構わないんだと思う。だけど、僕はルック以外の誰にも欲情しない。ルックじゃなきゃ、嫌だ。……ルックじゃないと、満たされないよ」 ―――僕にとってのセックスってね、そういう事だよ。 意味を違える事のないように、この想いがちゃんと伝わるように―――告げる。 …… to be continue
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