例えば こんなふたり − 11 ゆらゆらと揺れる翡翠の瞳に浮かぶのは、戸惑いと躊躇? 「…………僕は」 腕を掴んでいた手から力が抜けて落ちそうになる。それが嫌で、引き止めるようにその手を握った。 そして、どこか彷徨う視線を捉えて、じっと見据える。 「ルック?」 「あんたに、好きだって言われて……そうなのか、って思った」 言ったっきり、俯いてしまう。 窺えない表情と、告げられた台詞に、胸が小さな痛みを覚える。 だけど、ちゃんと見極めなければいけない。 僕をどう思っているのか、を。想いが、あるのか……どうか、を。 でなければ、これまで僕がルックに強いてきたことは、今回ルックを襲おうとしていた奴等のそれと何ら変わらない。 「でも、傍に居てもいいんだよね」 そう問うと、小さくこくりと頷く。 「触れても……いいって、思ってくれてるんだよね」 二度目。 「それって、僕だけ―――なんだよね?」 三度、目。 「僕は、君の特別だって……そう思ってても、いい?」 そして、四度目の頷きと共に、翡翠の瞳が僕へと戻ってくる。 「傍に居るのも、触れてくるのも…………全部、あんたじゃなきゃ……イヤだ」 「うん、それで充分だよ」 感情に名を付けるなんて、そんな野暮なことしなくていい。だって、ルックはちゃんと想いをくれてる。伝えるのに、何の躊躇いさえなく。 これ以上に、欲しい言葉なんて―――ない。 …… to be continue
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