コトの始め 4






 あれだよな…。
 俺様って家柄いいし、容姿だってこの通りだし、頭だって腕だってたつ訳。これだけ揃ってて、惚れない女は居ないだろ、常識的に。男に告られたのだって、1度や2度じゃないしな。
 何処に居たって、当然目立つ訳だ。
 落とした女の数なんて、それこそ覚えちゃいないくらいだし? 男は趣味じゃないから相手になんかしなかったけど。

 しかーーーーし! だ。

 こーゆう気の強そうな奴を落としてみたい! って思うの、普通だろ。男の浪漫だよな、うん!
 おまけに、そんじょそこらじゃお目にかかれないような、美少年だしvv っていうかだ、こいつの瞳、すっげーぞくぞくくんだけど。こんな子供のくせに、ここまで冷ややかな瞳で人を睨み付けてきやがるんだから。
 同性なんて冗談じゃないと思ってたんだが……。ましてや、こいつはガキだし……。
 でも、何か…こう〜嗜虐心―――そそられないか?
 泣かせてみたい、とか……。
 縋り付いて懇願してくるまで攻めてみたい―――とか?

 ―――くうーーー! 男の浪漫だよな!!

「…………こいつ大丈夫なの?」
 傍らに立っていたテッドに、ルックが訝しげな視線を送っている。
「さあ…?」 何そこで首傾げてんだ。
「…で、あんたが何で帝国の使者となんて一緒に居るのさ」
 ちょっと眉間に皺を寄せて、ルックがテッドを見上げている。
「はははっ、まぁ〜成り行きかな」
 何が成り行きだ―――。いつまでも俺様を無視して、親しそうに話進めてんじゃねーよ!
「……お前達、どんな関係だ?」
「はっ?」
 いきなりな俺の質問に、ルックが目を眇めてこちらを見やる。
 うっ、やっぱ……いいな〜。
「関係な〜?」
 テッドがルックを見下ろしながら、どこか意味深に笑う。何なんだ、その如何にも…って笑みは!
「言っちゃっていい?」
 そうテッドがルックに聞くのに、ルックは胡散臭そうに表情を歪めた。
 よーし! こんな顔でも全く問題なし♪
「……何を?」
「うーん、一緒に同じ布団で寝た仲だとか、風呂に入った仲――だとか?」
 尋ねるふりして、ちゃんと言ってんじゃねーかよ!?
「―――それが、何?」
 不思議そうに尋ね返すルックに、テッドはにやにやとこっちを見て笑った。
 ってーか! ルック、認めるのか?! ちっくしょー、やっぱりそうなんじゃねーか!!!!!
 こんな清純そうな面構えしてるのに!
「坊ちゃん、それより……星見の結果を―――」
 グレミオが背後で恐る恐るといった態で声を掛けてくる。
「わぁかってるよっ!」

 畜生、何なんだ! すっげームカムカしてきたぞ!!








...... きっと続く…かな
2002.02.27

 ……大丈夫か、月ノ郷。
 そろそろ本気でヤバくない???

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