幻水2_6 苦しめていた。 追い詰めていた…。 そうとは知らないうちに、無意識に―――。 グレッグミンスターに一度戻る事にしたのは、色んな事について考えたかったからだった。 与えられた希望を叶えた事に有頂天になってて、それこそ大事な事を見失ってたって気付いたから…。 想いを知って欲しいと思った。 そして、受け入れて欲しいと…。 だから、紋章の呪いさえ押しのける程に願った。 だけど―――それが、ルックを追い詰めていたなんて……。 知って受け入れて欲しい…それが実は人に寄っては凄く大変なんだって事さえ、浮かれてて忘れていた。 「子供って言われても仕方ない……よな」 そう、自嘲する。 自分でさえ、そんな一方的な想いを向けられたら怖いだろうと思うから。 それでなくても、ルックは不器用で…人の想いを真正面から受け止めるから。 3年前なら、子供の戯言と一蹴できたそれを、はっきりとした形で目の前に突きつけられて。 ―――きつかったんだろうな…。 だから、今一旦離れて冷静になって考えて、そうして漸く気付く。 ルックの狼狽振りに。 ”らしく” なさ―――に。 そうさせていたのは、自分自身だったのだと。 それでも、ちゃんと向き合うのだ、彼は。 「本当、……不器用」 だから好きになったんだけど。 うーん! と思い切り背伸びをして、寝台の上、横にしていた身体を勢いよく起こした。 「焦らずに―――いこう」 そうだ、焦る必要なんてどこにもない。 幸い、時間はある。有り余りすぎるほどに。 真実欲しいものを知った己に、諦めるなんて選択肢は、全くなかった。 ...... to be continue |