例えば こんなふたり − 3






 光を絞った薄暗い部屋の、無駄に広い寝台の上で向かい合って座り込む。
 ルックの言とは思えないほどの申し出に、興奮し切った勢いのままに、ふたつ返事で受けたはいいが、イチイは緊張しきっていた。
 …………ど、どうやるんだろ。
 実は、男女間のそれでさえ全くの未経験なのをすっかり忘れていた。
 某軟派少年の所為で耳年間になっていた為、それは知識としては申し分ない程度には擁しているのだけど。
 と、取り敢えずは―――。
 微かに震える手を伸ばして、白く滑らかな頬に…触れる。



 そうだ……デキるって事実に夢中になってうっかり失念していた!
「あっ……えっと…………ルック、やったことある?」
 自分で―――と、訊ねる。14歳だから、年齢的には丁度微妙な頃だけど。
「何を?」
 キョトンとして聞き返してくれるのには、流石にはっきり聞かなきゃ駄目かと顔が赤らんだ。
「う…うん、えっと……自慰行為ってヤツ」
「あぁ、それ。一度だけある、かな」
 あまりにきっぱりと言ってのける。答えより、そっちの方に余程驚く。
「あ、るの?」
「人体の構造の本に、書いてあったから。試してみなきゃ解んないしね」
「……………そう、なんだ」
「あれは、モヤモヤしてたのが一気に晴れてく感覚?」
「……………そ、そう」
 冷静に分析出来るような事じゃないと思うけど。あぁ、何か……顔が引き攣ってるかも知れない。








…… to be continue


 がんばれ………自分。

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