例えば こんなふたり − 6 気だるげに髪をかきあげる癖。 白く細い指の間から、さらりと零れ落ちる絹糸のような髪。 付き合って欲しいと告げて、そして抱き合うようになって。 未だに、そんな些細な事にどぎまぎし見惚れてしまうのは、ルックがあまりに綺麗だからだと……そう思う。 情事後の甘い空気の中、寝台から起き上がることも出来ないくらいに疲弊したルックは、 「聞きたいと思ってたんだけど……」 ふっと気付いたように問うて来る。 「うん、何?」 彼の人の髪を梳きながら、先ほどの余韻に思い切り浸っていたのも束の間。 「……他の人もやってる事同じなの?」 そのルックの問いに、思い切り甘い雰囲気が消し飛んだ。 「………………ルック?」 「シーナとか、あんたより『上手い』って言ってるけど…上手い下手とかあるの?」 「…………………」 あまりに無邪気すぎる疑問に、一体どう答えればいいのやら。 いや、それよりも問題は。 「まさかとは思うけど……それも、試してみたいとか―――」 思ってるの?とは、答えが怖くて聞けない。 「うん、いけないの?」 「――――――っ! 絶対、駄目!!!」 自分の聞くに聞けない問いを、きちんと違うことなく解し答えを返してきたルックに、思い切り言い切る。 「……だって、」 やってみなくちゃ解らないし、と言うルックの言は尤もだと思う。 思うけど―――。 この無駄にあり過ぎる知的探究心がいけない! いや、だけどそれがなければ恐らく、ルックとの関係はここまで持ち込めなかったろうという事も解ってはいるのだ。ルックは、こういう行為があまり好きではない。それでも自分と抱き合うのは、それを知りたいからだ。 「それだけは、絶対に駄目!」 絶対に、誰にも、触れさせたくない。 …… to be continue
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