例えば、こんな話 − 事と次第 7




 促されるままに、ソファーに腰を下ろす。
 遠慮なく向けられる視線と降りる静寂とに、居心地の悪さを拭えない。
「お茶でもどう?」
「要らない。……そんな事より、用件を済ませてくれる」
 一刻も早くこの部屋から……嫌味なくらいに感情を窺えない笑顔を浮かべるこいつの視線から、逃れたい。
 優雅な身のこなしで向かい側のソファーに腰を下ろしながらも、その黒曜石のように深い色合いの瞳は逸らされない。
「この学園は気に入ってもらえた?」
「………さぁね」
 まだ、編入一日目だ。そんなの解る筈もない。
 始終向けられる視線は、なにもこの学園に限った事ではないし。
 気にせずには居られないけど、それでも無視できる範囲内のものだ。  そう、こいつのモノに比べれば―――。
 ふっと逸らした視線の先。僅かに日が差し込むように調節されたブラインドの隙間から、中庭が窺える。
 昼休みに五月蝿い下級生に請われて訪れた、その場所。
「……前の学校が、懐かしい?」
 下ろされていた、ブラインド。
「………別、に」
 だけれど―――あの時に感じた悪寒とも思える感覚は、似てはいなかった?
「そう、それは良かった」
 こいつのこの視線に晒されている今の、それと。








...... to be continue
2004.00.00

 進展しなさそう……っていうか、書きたいところ自体がそういう場面じゃないので……しないかも知れない(爆)。

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