例えば、こんな話 − 事と次第 11




 その日の放課後。
 生徒部会室の扉の前で、先日と同じ様に立ち尽くす。
 重厚な扉ゆえか、室内の様子が全く窺えない。
 誰か在室しているのかどうかさえ解らない。
 正直にいうなら。
 本当は、こんな部屋には近付きたくないし、係わり合いにさえなりたくない。それでも、先日の申し出の返事をしない事には、その僅かな係わり合いさえ切れなさそうな気がしていた。
「あっと…ルック?」
 いざ、扉を叩こうと上げた拳が、横から掛けられた呼び掛けに動きを止める。咄嗟に視線を向けた先には。先日、生徒部会の面々と顔合わせをした時に見た顔のひとつ。
 確か…。
「………テッド?」 って名だったと思う。
 と、そのテッドは 「うわっ」 と、半歩後ずさった。
「……何」
 そのリアクションは。
「いや、何か…感動だな〜って。一度顔合わせただけなのに、名前覚えててくれるなんて」
「………名前覚えるの、得意なだけだよ」
 そう、実際他人なんてどうでもいいのに。何故かそれだけは得意だったり、する。
「いや、でも感動する!」
 うんうんと頷いて、そしてふっと気付いたように問うて来る。
「あっ、ここに用事か?」
「……そう、生徒部会長にね」
 一瞬、何ともいえない表情を浮かべたテッドは、僕の訝しげな視線に気付いたのか。
「じゃあ、ご案内v」
 瞬時おどけたような笑みになると、目の前の重厚な扉を開いた。








...... to be continue
2004.09.20

 生徒部会役員、ようやく坊さま以外が登場(笑)。これから活躍してもらう予定v でないと、話が進まない…ってより、ふたりが仲良くならない(苦)!

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